ムーラン・ルージュ

「ムーラン・ルージュ」見ました

今から100年以上も前の1899年のパリ。夜の社交場ムーラン・ルージュ。華やかで淫らな、退廃の殿堂ともいうべきこのナイトクラブの人気ダンサーにして高級娼婦、サティーンと貧乏作家クリスチャンの愛を描いたミュージカルです。ミュージカル作品ですので全編に”歌と音楽”が楽しめますが、主題歌「レディ・マーマレイド」は全米で連続1位の大ヒット作品となりました。ほかにビートルズ、マドンナ、エルトン・ジョン、デビッド・ボウイなどの現代のポップスも取り入れられていて、美しいベストカップルが素敵な歌を聞かせてくれます。冒頭からのめまぐるしく動くカット割は驚きの連続。キャッチコピーは「ふたりの愛、ひとつの運命。」「パリ、1899年この街で、最も愛された一人の女…彼女の名はサティーン」

登場人物

1990年代、実際パリに存在するムーラン・ルージュをモデルにしたこの映画は、華やかな踊り子、金で愛を売る娼婦とその支配人ハロルド・ジドラー、映画では画家ではなく、劇を作り、芸術を愛する尼僧姿の男として登場するロートレック(トゥールーズ)、作曲家のサティ、唯一の黒人男性であるショコラ、空中足のニニなど、ムーランルージュに実際に携わった人物がこの映画の中に登場します。

気になる登場人物

  • ハロルド・ジドラー:実際に存在したムーラン・ルージュの支配人でありながら、真の彼の事は何も書かれていませんでした。彼はサティーンの自由を奪った、サティーンが「私は貴方のせいで身体を売ること以外価値はない女だと思ってた。」と言っていて、私はハロルドがどれだけ酷い男なのかと考えました。でも、今回この映画を改めて観た時、ハロルドは侯爵に脅されてはいたものの、凄く良い人なんじゃないかと考え直しました。
  • 侯爵:嫉妬深くて恐ろしい男なのにコメディーがある彼。『like a virgin』でノリノリになってハロルドと歌ったり踊ったりする姿以外は本当に恐ろしい男性です。最後にサティーンが死んでしまうことを彼は知らないまま去りますが、もし知ったら、その後どうするのかっていうのがちょっと気になりました。
  • ニニ:イチイチ話をややこしくするキャラです。彼女はダンスが凄く上手い、カンカンだけならサティーンに劣らない。その華麗なる足さばき、カンカンの足を上げて踊る独自のスタイルから「空中足のニニ」と呼ばれたそうです。映画の中でも、カンカンを踊るシーンではサティーンが出てくるまで彼女の描写が多く、彼女が一番ダンスが上手いことが目立っています。娼婦として生きることにサティーンとは真逆に生きがいを感じ、喜びを見出しているようにも思えます。

ミュージカル映画のヒット

ムーラン・ルージュは久しぶりにヒットしたミュージカル映画です。近年、ミュージカル映画が廃れてしまったことの理由をいくつか挙げてみることにしましょう。まず、途中で歌やダンス・シーンが入り映画の 流れが止まってしまうこと。これは今のスピード感あるストーリー展開の映画全盛の時代にあっては、致命的なものです。次に話に世相や社会問題を盛り込まなければダメみたいな風潮ができてしまったこと。これは往年のミュージカルが好きな人たちにも、足が遠のく結果となってしまいます。おそらくバズ・ラーマン監督には、これが頭の中にあったのではないでしょうか。舞台をモンマルトルのムーラン・ルージュという郷愁を感じ させるところに置きながら、かつ現代風にアレンジしています。

この映画でもうひとつ特筆すべき点は、既成の曲をうまく当てはめたところにあると思います。フレディ・マーキュリーの曲や、エルト ン・ジョンの「ユアー・ソング」などなど、およそミュージカルに使うなんて思いも寄らなかったものをあそこまでうまくはめ込んだのは 音楽センスの良さのなせる技でしょう。

歌で愛を告白

ムーラン・ルージュの醍醐味の一つ、“歌で愛を告白”をご紹介します。ちなみに映画用の歌詞になっており、少々本物の曲の歌詞とは違います。

Elton John/Your Song
(中略)許して欲しい舞い上がっている僕を、グリーンかブルーかその区別もつかない僕。ただ分かるのは君に捧げるこの想い、君の甘い眼差しに僕は永遠に君の虜。
The Beatles/All You Need is Love
(中略)君に必要なものは愛! 君に必要なものは愛!愛さえあれば生きていける。
Kiss/I was made for loving you
(中略)お互い愛するために生まれてきた君と僕!
Phil Collins/One More Night
(中略)たった一夜……一夜を僕に。
U2/in The Name Of Love
(中略)愛という名にかけて、その名にかけて一夜だけ!
The Communards/Don’t Leave Me This Way
(中略)そんなつれないことを、僕は生きていけない。君の愛がなくては、僕の愛を受け入れて。
Paul McCartney/Silly Love Songs
(中略)たわいもないラブソング、もう聞き飽きたはず。それは間違い、周りを見てごらん。世界中に氾濫するたわいもないラブソング、何が悪いの?悪くない。
Up Where We Belong/Joe Cocker and Jennifer Warnes)
(中略)愛の高みに幸せがある!鷹が舞っている、山の峰をかすめて!
David Bowie/Heroes
(中略)愛は人を英雄にする、たった1日でも。運命が結ぶ君と僕。受け入れて……。長続きするはずのないあなたと私、だから時を盗もう。せめて1日だけ。そして英雄になろう、いつまでも永遠に。
Whitney Houston/I Will Always Love You
(中略)永遠に生きる、僕の愛とともに!
Come What May
この気持ち、生まれて初めて知るこの気持ち。初めて空を見たような。……そんな気持ち。(中略)この歌を歌えば2人の心は1つに、空が雲に覆われ嵐が吹き荒れようとも、君を愛す、この世の時が尽き果てるまで……。例え何が起ころうと、君を愛し続ける。

感動

ムーラン・ルージュはミュージカルなのに結末がオペラみたいだと思いました。ヒロインの死。それはオペラ「ラ・ボエーム」や「椿姫」を参考にしているからだったのですね。主役二人については言うまでもなく素晴らしく、書く言葉もありません。この映画は「感動した」以外に言葉が見つからないです。

スタッフ

  • 監督:バズ・ラーマン
  • 脚本:バズ・ラーマン 、 クレイグ・ピアース
  • 製作:マーティン・ブラウン 、 バズ・ラーマン 、 フレッド・バロン
  • 撮影:ドナルド・マッカルパイン
  • 美術:キャサリン・マーティン
  • 音楽監督:マリウス・デ・ヴリーズ
  • 音楽:クレイグ・アームストロング
  • 音楽監修:アントン・モンステッド
  • 編集:ジル・ビルコック
  • 衣装(デザイン):キャサリン・マーティン 、 アンガス・ストラティー
  • 振り付け:ジョン・オコネル
  • 字幕:戸田奈津子

キャスト

  • Satine:ニコール・キッドマン
  • Christian:ユアン・マクレガー
  • Toulouse Lautrec:ジョン・レグイザモ
  • Harold Zidler:ジム・ブロードベント
  • The Duke:リチャード・ロクスバーグ
  • The Doctor:ギャリー・マクドナルド

にこーるきっどまん