めぐりあう時間たち

「めぐりあう時間たち」見ました

キャッチコピーは「たくさんの愛と驚きと時間たち、そして感動。人生はいつもミステリーに満ちている。」「ダロウェイ夫人」をモチーフに、作者であるヴァージニア・ウルフをはじめ、それにかかわる3人の女性を3つの時代(1923年、1951年、2001年)において、それぞれの一日を描くドラマです。アカデミー賞他、たくさんの賞にノミネートされました。

解説

この映画は3つの時代、すなわち1923年、1951年、2001年における3人の女、すなわちヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)、ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)、クラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)の1日の人生を描くことによって、この3人の女性たちとそれを取り巻く人物たちの人生そのものを考えるという非常に難しい構成の映画です。そして、3つの異なる時代の、何の関係もない3人の女たちを結びつけるものが、作家ヴァージニア・ウルフの書いた『ダロウェイ夫人』(1925年)という小説です。

あらすじ

1923年
1923年6月のある日、作家ヴァージニア・ウルフは、1人書斎でタバコを吸いながら物語の構想を練り、自分の世界に入っていた。そして『ダロウェイ夫人』の書き出しの文章が、彼女の口でつぶやかれた。「ミセス・ダロウェイは言った、花は私が買ってくるわ・・・」
1951年、
ロサンジェルスに住む妊娠中の主婦ローラ・ブラウン。彼女は『ダロウェイ夫人』の愛読者。ローラは優しい夫と可愛い息子に囲まれて幸せな生活を送っているはずだったが、実は理想的な妻を演ずることに疲れ切っていた。しかし今日は夫の誕生日。ケーキを作ろうと思いついたローラは、夫を送り出した後、息子と共に取りかかったが・・・。入水自殺をしたヴァージニア・ウルフと同じように自殺への誘惑にかられたローラは、ホテルの一室に入り、『ダロウェイ夫人』を開いた。そして1人ベッドの中で、『ダロウェイ夫人』を読んだ。「ミセス・ダロウェイは言った、花は私が買ってくるわ・・・」。しかし・・・。
20○○年
そして、現代の、ニューヨーク。詩人であり、クラリッサ・ヴォーンの恋人であったサリーはエイズに冒されていたが、今日は受賞式。そのサリーから「ミセス・ダロウェイ」と呼ばれていたクラリッサは、受賞式の後のパーティを企画し、慌ただしい1日が始まろうとしていた。この日のスタートは、彼のために花を買うこと。「サリー、花は私が買ってくるわ」と呼びかけて、クラリッサは出かけていった・・・。

受賞

ピュリッツァー賞を受賞したマイケル・カニンガムのベストセラー小説を、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープの豪華女優陣の競演で映画化。監督は「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ダルドリー。2002年のアカデミー賞でニコール・キッドマンが主演女優賞を受賞したのをはじめ、ゴールデン・グローブ賞作品賞&主演女優賞、ベルリン国際映画祭最優秀女優賞などを受賞しました。

魅力

異なる時代の3人の女性が抱える苦悩は、まさに人生そのもの。真摯に、純粋に、自分の生をまっとうしようとすればするほどのしかかってくるしがらみ、世間、肉親、そして家族。そんな日常と対峙し、己の生きるべき場所を模索する3人。その人生における命題(“日常”にこそ大切なことは隠されている)を、この映画は丁寧に紡ぎ出し、観客の目をクギ付けにします。3人の女性が共有するのは、生の不安。自分が自分らしく生きることと、社会的役割とのギャップ。死の影、そしてレズビアニズム。これは人生と向き合う映画です。いや、自分が人生と向き合っているのか、それを問い掛けられる映画と言ってもいいでしょう。

一日の意味

3人の女たちそれぞれの1日のスタート。それは特別な1日かもしれないし、毎日繰り返されていく平凡な1日にすぎないかもしれない。しかし、その1日には彼女たちそれぞれの人生が凝縮されてます。そして、この3人の女たちのその1日も、やがて終わりを迎えるのです。

女優魂

ニコールキッドマンが演じるこの映画の主人公の1人は、ヴァージニア・ウルフその人。創造の苦しみに悩み、精神に異常をきたしながらも、『ダロウェイ夫人』を構想、執筆中のヴァージニア・ウルフは、1923年の今、夫レナード・ウルフと共に、ロンドン郊外の静かな田舎町リッチモンドに住んでいたという設定。ヴァージニア・ウルフを演ずるニコール・キッドマンは1967年生まれだから、現在36歳。そして、1882年生まれのヴァージニア・ウルフは1923年時点では41歳ですから、ニコール・キッドマンは「実物」より少し老けた年齢の主人公を演じていることになりました。精神に変調をきたしながらも、必死に作家として自分の世界を創造しようとしているヴァージニア・ウルフを演じるのですから、その役づくりはすごく難しい。しかも、セリフがたくさんあるわけではないので、ヴァージニア・ウルフという人物の本質をその表情や仕草で伝えていくことは難しい作業です。しかし、ニコール・キッドマンはこの役柄を見事に演じきりました。

女優魂と受賞

この女優魂は受賞にもつながります。2003年第75回アカデミー賞では、『エデンより彼方に』のジュリアン・ムーアや『シカゴ』のレニー・ゼルウィガーを押しのけて、見事念願の主演女優賞を獲得しました。その他の脇役も役者魂が光り、2003年第53回ベルリン国際映画祭で、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープの3人が共に銀熊最優秀女優賞を受賞し、2002年第28回ロサンジェルス映画批評会協会で、ジュリアン・ムーアが主演女優賞を受賞していることからも裏付けられます。

受賞

  • アカデミー主演女優賞:ニコール・キッドマン
  • ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)/主演女優賞(ドラマ部門):ニコール・キッドマン
  • ベルリン国際映画祭銀熊賞 (女優賞) :ニコール・キッドマン、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア
  • 英国アカデミー賞主演女優賞:ニコール・キッドマン/作曲賞:フィリップ・グラス
  • ロサンゼルス映画批評家協会賞:女優賞 ジュリアン・ムーア

スタッフ

  • 監督:スティーヴン・ダルドリー
  • 脚本:デイヴィッド・ヘアー
  • 原作:マイケル・カニンガム
  • 製作総指揮:マーク・ハファム
  • 製作:スコット・ルーディン 、 ロバート・フォックス
  • 撮影:シーマス・マクガーヴィ
  • 美術:マリア・ジャコヴィック
  • 音楽:フィリップ・グラス
  • 編集:ピーター・ボイル
  • 衣装(デザイン):アン・ロス
  • 字幕:松浦美奈

キャスト

  • Virginia Woolf:ニコール・キッドマン
  • Laura Brown:ジュリアン・ムーア
  • Clarissa Vaughan:メリル・ストリープ
  • Richard Brown:エド・ハリス
  • Kitty:トニ・コレット
  • Julia Vaughan:クレア・デインズ
  • Louis Waters:ジェフ・ダニエルズ
  • Leonard Woolf:ステファン・ディラーヌ

にこーるきっどまん