アザーズ  

アザーズ見ました

「アザーズ」は、アレハンドロ・アメナーバル監督、ニコール・キッドマン主演のホラー&スリラー映画です。静かに迫る本質的な恐怖に深く心を打つドラマが加わり、圧倒的な前代未聞の作品。撮影はビクトル・エリセ監督の「マルメロの陽光」のハビエル・アギーレサロベ。トム・クルーズが製作総指揮で加わっています。

あらすじ

第2次世界大戦末期の1945年。ドーバー海峡に面したイギリスのチャネル諸島ジャージー島は、ナチスドイツからの猛攻撃にも何とか耐え抜いたが、この島の屋敷に住むグレースは、最近それとは別の何者かの侵入に悩まされていた。どうやら、屋敷の中に誰かが住み着いているようなのである。それに恐れをなしたのか、使用人たちはここから出て行ってしまった。光アレルギーで外に出ることの出来ない二人の子供を抱え、出征した夫の帰りを待ちながら途方に暮れるグレースの元に、3人の男女がやって来て、この屋敷の使用人になる。ところが、その晩からまた異常現象が起こるようになった。グレースの娘アンは、この屋敷の中にヴィクターという名の少年がいると主張してヒステリーを起こし、それを止めようとしたグレースは、アンの首を絞めそうになってしまう。何者かが誰も弾かないピアノをかき鳴らしたりする。戦地で休暇をもらって帰還した夫が再び出征するのを追いかけたグレースが屋敷に戻ると、光アレルギーの子供たちを守るため固く閉ざされていた家中のカーテンが、すべて取り払われていた。グレースは、すべての異常現象がこの家に住む悪霊のせいだと気づく。そして、その悪霊の正体は、どうやらミルズ夫人と彼女の仲間たちであるようで・・・。

演出と脚本

恐怖の演出も素晴らしい作品です。屋敷を襲う超常現象。見えない存在を音響効果と陰影を、カメラワークでかなり巧く表現しきっています。誰でも家の中の暗闇や目の届かない場所に少なからず恐怖を感じるもので、そういう潜在的な恐怖を効果的に突くホラー演出は賞賛に値します。また、1940年代の設定なので、衣装といい屋敷といい音楽といい、何もかもが古い映画を観ているようで、その雰囲気作りもこの脚本とマッチしていて、美しいニコールキッドマンがその雰囲気を更に盛り上げています。脚本もよく出来ているので手に汗握る展開も多く、とにかく完成度の高い作品でした。

受賞

スペイン版アカデミー賞とも称されるゴヤ賞では、最優秀作品賞と監督賞を含む八部門で受賞を果たした。ちなみに全編英語の作品が、ゴヤ賞にて作品賞に選ばれたのはこれが初めての上、幽霊屋敷モノが作品賞を受賞してしまったこと自体が驚きです。

主役

主演のニコールキッドマンは相変わらず綺麗です。往年のグレース・ケリーを思い出したりします。規律を重んじる厳格な母親役を上手く演じてました!ニコール・キッドマンは母親役を熱演していました。真相がわかった後のグレース夫人を演じるとこが白眉です。素晴らしい。この設定でヘタな監督が演出すると最後にヒロインが間抜けに見えてしまいそうですが、この点は問題無く、本当に綺麗に撮れていました。目を覚ますだけのショットだけでも美しいです。この頃のニコール・キッドマンが一番綺麗で好きかもしれません。

子役

子役の二人の演技力も見事です。どうやらこの映画のためにオーディションで集められた新人らしいのですが、主人公を演じるニコール・キッドマンもさることながら彼らが居てこそ成り立っている映画でもあるといえるでしょう。

夫役

夫のチャールズを演じるクリストファー・エクレストン。アレックス・コックス監督の「リベンジャーズ・トラジディ」ではハムレットもどきを演じているそうです。こういう何となくつかみどころの無いキャラを演じるのが上手いです。「イグジテンズ」ではどこに出ているのかわからない(失礼)感じでしたが、「姉のいた夏、いない夏。」ではこのようなキャラクターをこなしていました。

もともと昼間でもどんよりとした霧が晴れることはない土地の設定のようですが、子供たちが重度の光アレルギーで光の下では生活できないため、映画のほとんどは暗闇の中で進行していきます。昼間にカーテンを閉め切ったところで生活するよりも、それならいっそ、昼夜逆にして夜に起き出せばいいんじゃないか?と思うのですが(せめて午後から起き出して明け方前に寝るとか)、規律正しい生活を尊んでいるのか、普通に近い生活サイクル。その辺りの融通の効かなさも、母親の心理をよく表しているようにも思います。

雰囲気

映画全体から漂う、隙の無いゴシックで重厚な雰囲気、主人公を演じるニコールキッドマンの演技力、激しいスプラッターな要素が皆無でありながらグイグイ引き込まれるホラーとしての物語。ポイントを挙げればキリが無いのですが、見終わったあとにこれだけ様々な感慨を生じさせる映画はなかなか無いと思います。

ラスト(完全にネタばれします)

新しくやってきた使用人たちは明らかに怪しい言動をしていて(観客の目には)、もしやこの屋敷をのっとるのではないかと想像させます。最終的なオチを書いてしまうと(注:ネタバレします)、グレース夫人と子供達は死んでいた、という、「シックス・センス」的なラストです。明らかに言動がおかしい使用人達。その代表格ミセス・ミルズ。子供思いの優しい感じの人ですが、どこか陰のある人物でした。この人も実は死んでいたので当然?影があるのです。ようするにグレース一家は死んでる事に気付いていないのです。ここまでは「シックス・センス」と一緒ですが、こちらの方がラストは切なくなってしまいます。そしていよいよ明かされる秘密は、グレースが子供達を殺したという事実。精神を病んでる感じはすごく伝わってきてましたが、まさかグレースが子供達を殺してたってのにはビックリでした。

別の存在

グレースが感じていた「アザーズ(別の存在)」は人間だったんです。幽霊側から見た人間というわけです。人間側からしてみればグレース達が恐怖の対象であって、グレース側からすれば人間が恐怖の対象なんですね。身の回りで覚えのないことが起こり始めたことで、母親は恐怖でノイローゼのようになりますが、それは現実の世界の住人たちにも言えることで、こうやって死後の世界と現実の世界って繋がってるのかもしれません。現実の世界のほうでは、気付いたらカーテンが閉まっていたり、ピアノやドアの鍵がしまっているし、誰かが走り抜けていったりしているのだから、恐ろしいですよね。

キャスト

  • ニコール・キッドマン
  • フィオヌラ・フラナガン
  • クリストファー・エクルストン
  • アラキナ・マン
  • エリック・サイクス
  • エレーン・キャシディ

スタッフ

監督:アレハンドロ・アメナーバル

  • 脚本:アレハンドロ・アメナーバル
  • 製作総指揮:トム・クルーズ 、 ポーラ・ワグナー 、 ボブ・ワインスタイン 、 ハーヴェイ・ワインスタイン 、 リック・シュワルツ
  • 製作:フェルナンド・ボヴァイラ 、 ホセ・ルイス・クエルダ 、 サンミン・パーク
  • 撮影:ハヴィエル・アギレサロベ
  • 美術:ベンジャミン・フェルナンデス
  • 音楽:アレハンドロ・アメナーバル
  • 編集:ナチョ・ルイス・キャピリア
  • 衣装(デザイン):ソニア・グランデ
  • 字幕:太田直子

にこーるきっどまん